司法書士試験の勉強を始めると、次から次へと新しい情報が入ってきます。
「この参考書が分かりやすい」
「この講師の解き方がすごい」
「実務を知っていたほうが登記法を理解できる」
どれも一見もっともらしく聞こえます。ただ、一発合格を目指すなら、何をするかと同じくらい、何をしないかを決めることが重要です。
自分は伊藤塾の講座を中心に勉強し、講義テキストと過去問を試験当日までに13周して、司法書士試験に一発合格しました。
その過程で意識していたのは、勉強法にオリジナリティを出すことではありません。合格実績のある方法を信じて、余計なことをせず、決めた教材を繰り返すことでした。
この記事では、一発合格を目指す人が避けたほうがいい勉強法を5つ紹介します。
一発合格を目指すなら、新しい教材や勉強法を探し続けるより、今ある教材を最後まで周回できる環境を守ることが重要です。
1.参考書や問題集を次々に増やす
最も避けたかったのは、教材を増やしすぎて、メイン教材の周回に支障が出ることでした。
自分は受験中、「もっと分かりやすい参考書があるかもしれない」と教材を探し回った時期はありません。
最初から、合格までに同じ教材を何度も周回するつもりだったからです。
新しい教材を1冊追加すれば、その教材を読む時間だけでなく、既存の教材との重複を確認する時間も必要になります。覚えるべき表現や説明の順番が変われば、頭の中で整理し直す作業も発生します。
司法書士試験は範囲が広く、ただでさえ一周に時間がかかります。教材を増やすほど、一冊あたりの周回数は落ちます。
自分は、同じ用途の教材を複数使わないと決めていました。
教材を追加するときは、必ず既存の教材とは違う役割を持たせました。
- 伊藤塾の講義テキスト:知識を集約するメイン教材
- 伊藤塾セレクション:過去問をスピーディーに処理する訓練
- ケータイ司法書士:移動中や待ち時間の一問一答
- 伊藤塾・LECの答練:記述式と本番形式の演習
たとえば、ケータイ司法書士を使ったのは、講義テキストの代わりにするためではありません。病院の待ち時間や移動中など、机に座れない時間を活用するためです。
伊藤塾セレクションも、別の解説を読みたかったからではなく、単元別の過去問をテンポよく解くために使いました。
用途が同じ教材を何冊も並べても、安心感が増えるだけで、使える時間は増えません。
教材を追加する前に、「今ある教材ではできず、新しい教材ならできることは何か」を説明できるか確認してください。答えられないなら、追加せずに今の教材をもう一周したほうがいいです。
実際に使った教材と役割は、次の記事ですべてまとめています。
司法書士試験で使った教材を全部公開|一発合格したテキスト・過去問・答練
2.途中で予備校や講師を変える
今の講義が分かりにくいと感じたとき、別の予備校や講師へ変えたくなる人もいると思います。
もちろん、明らかに自分と合わず、講義を継続できないなら変更が必要な場合もあります。
ただ、合格実績のある予備校と講師を選んだのであれば、まず疑うべきは講座ではなく、自分の復習量です。
単なる勉強不足なのに「この講師では受からない」と他責にして講座を変えても、状況はなかなか改善しません。
新しい講座へ移れば、すでに理解している範囲も最初から聞くことになります。当然、時間もお金もかかります。
さらに、講師によって記述式の解き方や説明の順番が違うこともあります。
一つの方法を十分に身につけていない段階で複数の解き方を知ると、「どちらを使うか」を自分で選ばなければなりません。
まだオリジナリティを出す段階ではないのに、選択肢だけが増えてしまいます。
自分は伊藤塾・山村拓也講師の講座をメインに据え、途中で別の講義へ乗り換えることはしませんでした。
LECも利用しましたが、目的は講義のやり直しではなく、答練と会場模試による本番演習です。予備校ごとの役割を混ぜなかったから、勉強の軸がぶれませんでした。
「理解できない=講師が悪い」と判断する前に、講義を復習したか、対応する過去問を解いたか、テキストを何周したかを確認する。講座を変える判断は、その後でも遅くありません
予備校を使った理由と、独学を選ばなかった考え方はこちらで詳しく書いています。
司法書士試験、独学はやめとけ|一発合格した自分が予備校を使った理由
3.モチベーションに任せて勉強する
「今日はやる気があるから10時間勉強する」
「今日は疲れているから明日に回す」
このように、その日の気分で勉強量を決める方法はおすすめしません。
司法書士試験は、ゆったり勉強していれば、いつか自然に合格できるような甘い試験ではないと思っています。
自分は毎月末に翌月の勉強計画を作り、どの日に、どの科目を、何ページ進めるのかまで決めていました。
そして、計画が遅れそうだと分かった時点で、実際に遅れる前に必ず調整していました。
旅行などで勉強時間が取れない日が分かっているなら、前日に朝4時に起きて2日分を終わらせることもありました。
睡眠時間を削ること自体を勧めたいわけではありません。重要なのは、予定があることを「できなかった理由」にせず、事前に分かっているなら先回りして調整することです。
一度「今日はできなかったけど、まあいいか」という前例を作ると、次に計画を崩すハードルも下がります。
少なくとも自分は、それによって勉強強度が少しずつ落ちていくのが怖かったため、最初の遅れを作らないようにしていました。
勉強を継続できたのは、毎日高いモチベーションがあったからではありません。その日の気分とは関係なく、やることが決まっていたからです。
モチベーションが上がるのを待たず、先に勉強する日時と範囲を決める。予定どおりできない日があるなら、当日になって諦めるのではなく、前日までに調整するのが自分のルールでした。
月間計画の作り方と、教材を13周したスケジュールはこちらの記事にまとめています。
司法書士試験の勉強スケジュール|一発合格まで教材を13周した進め方
4.得意科目ばかり勉強する
得意科目の勉強は進みやすく、問題も正解できるので気持ちがいいです。
反対に、苦手科目はテキストを読むだけでも時間がかかり、思ったように点数が伸びません。気がつくと、得意科目ばかり勉強してしまうことがあります。
自分の場合、民事訴訟法や刑事訴訟法などは、細かい知識を覚える必要があり、決して楽な科目ではありませんでした。
そこで、特別な攻略法を探し続けるのではなく、最後は暗記に全振りすると開き直りました。
もちろん、制度の趣旨や条文の関係を理解することは大切です。ただ、司法書士試験で正解するためには、最終的に必要な知識を覚えていなければなりません。
苦手科目に対して、あれこれ新しい勉強法を探すより、テキストへ知識を集約し、過去問で間違え、またテキストへ戻る。この繰り返しを優先しました。
間違えた箇所には付箋を貼り、確認した日付を書きました。2週間に一度は付箋部分をまとめて復習し、「もう間違えない」と判断できたものから外していきました。
苦手科目を好きになる必要はありません。
好き嫌いとは別に、試験日までに合格に必要な水準へ持っていけばいい。そのためには、気分ではなく、月間計画の中へ苦手科目を先に組み込む必要があります。
苦手科目を攻略する特別な裏技を探すより、「覚えるまで何度でも戻る」と決める。得意科目で勉強した気分になるのではなく、点数を落としやすい科目へ先に時間を割くことが大切です
5.試験前から登記実務や細かすぎる論点に手を広げる
受験生の中には、「実務を知れば登記法をもっと深く理解できるのでは」と考え、実務書へ手を出す人もいます。
たとえば、『商業登記ハンドブック』などは、実務に就いてから役立つ本です。しかし、基本的には本職向けであり、司法書士試験の合格に必要な知識を効率よく学ぶための受験教材ではありません。
実務に興味を持ち、息抜きとして軽く読むことまで否定するつもりはありません。
ただし、実務書の知識を問題演習の拠り所にしないことです。
その知識で正解する必要がある問題なら、基本的には受験用テキストにも載っているはずです。載っていないのであれば、試験対策としての優先順位が低い可能性があります。
限られた勉強時間を実務知識へ割くほど、テキストや過去問へ戻る時間は減ります。それは、合格へ近づいているように見えて、実際には遠回りになりかねません。
自分は司法書士事務所で働いた経験がありますが、実務は合格後、本当に嫌というほど毎日できます。
受験中は、実務へ進む前の試験を突破することが先です。
理解できない受験論点や、地味な暗記から逃げるために実務書を読むのであれば、それは勉強ではなく「逃げ」になっています。
実務は合格後にいくらでも経験できます。受験中は、実務家らしく見える勉強より、合格者になるための勉強を優先すべきと個人的には考えております。
まとめ:一発合格に必要なのは、やることを増やすことではない
司法書士試験に一発合格したい人が避けるべき勉強法は、次の5つです。
- 参考書や問題集を次々に増やす
- 途中で予備校や講師を変える
- モチベーションに任せて勉強する
- 得意科目ばかり勉強する
- 試験前から登記実務や細かすぎる論点に手を広げる
勉強がうまく進まないと、新しい教材、新しい講座、新しい勉強法を探したくなります。
しかし、何かを追加すれば、その分だけ今やっている勉強へ使える時間は減ります。
自分が一発合格するために優先したのは、特別な裏技ではありません。
- メイン教材を決める
- 教材ごとの役割を分ける
- 必要な知識をテキストへ集約する
- 月単位で勉強範囲を決める
- 遅れる前に計画を調整する
- 苦手科目も含めて何度も周回する
これを試験当日まで繰り返しました。
勉強法に迷ったときは、「新しく何を始めるか」より、今の教材と計画を最後までやり切るために、何をやめるかを考えてみてください。
一発合格を目指すなら、勉強の選択肢を増やすより、やるべきことへ時間を集中させるほうが大切です。


コメント